鼻のレーザー治療について
当クリニックではCO2レーザーを使った鼻炎の治療を行っています。花粉症などに限らず、あらゆる鼻づまりに有効です。
レーザー照射で鼻粘膜表面を変性、収縮させることにより鼻のつまりが改善し、花粉などの抗原に対するくしゃみ鼻水などのアレルギー反応も軽減します。鼻づまりに対しては約90%、鼻水くしゃみに対しては約50%の方に改善が期待できます。
保険適応の治療であり、3割負担の方で約1万円程度です。
個人差はありますが、1年から2年程度効果が持続します。(永遠に効果が持続するわけではありません。元に戻るということはメリットでもあります。)
注:スギ花粉症に対する場合は、スギ花粉が飛散している時期にレーザー治療を行うことはお勧めしません。既に炎症がおきている粘膜にレーザーをあててもあまり効果は得られません。また、レーザー後2週間ほどの間に花粉が粘膜に付いて炎症を起こしてしまった場合も効果は期待できなくなります。そのためスギ花粉症に対するレーザー治療は遅くとも1月中旬までに行う必要があります。
効果は1年から2年は持続しますが、半年くらいから少しずつ効果が落ち始めますので、スギ花粉症の方は10月から12月に受けられることをお勧めします。
ホコリやダニなどの通年性のアレルギーや薬剤性鼻炎などの慢性的な鼻づまりの方はいつでも可能ですが、なるべくホコリやダニの発生を予防しつつ、湿度が高い時期に受けられた方がより良い効果が得られます。常に鼻水や鼻づまりがある方は、事前に内服薬と点鼻薬を1~2週間程度使用していただき、症状を極力おさえてからレーザーが可能か判断します。炎症がおきているときにレーザーを照射してもあまり効果は期待できません。過去に受けたレーザー治療があまり効かなかったという方は、この事前の対処をしていないことが多いです。
注:レーザー治療は完全予約制です。一度受診していただき、適応があるか診察と検査をした上で手術日を予約します。
過去に受けたことがある方はレーザー予約枠が空いていて鼻の状態が良ければ初診当日でも手術可能な場合があります。予約枠が空いているかは電話でご相談ください。その際はアレルギーの検査データとお薬手帳などの過去の治療歴がわかる物を必ず持参してください。
注:コロナ禍以降はマスクをして鼻だけ出した状態で行っています。
このような症状の方にお勧めできます。
- 薬や点鼻ではあまり効果がない方
- 薬で眠気や口渇などの副作用が出る方
- あまり通院をしたくない方
- 鼻づまりが原因となる睡眠障害(いびき、無呼吸)がある方、C-PAPがうまく使えない方
- 鼻づまりで口呼吸になる方
- スポーツをする際などに鼻づまりで困っている方
- 鼻声を治したい方
- 市販の点鼻薬を使わないと鼻が通らなくなり、他の薬剤では改善できなくなったとき
治療方法
麻酔液を浸した綿を鼻の中に挿入し、待合室で約20分お待ちいただきます。(注射で麻酔をするわけではありませんので痛みは少ないです。)
麻酔完了後、片方ずつ内視鏡で見ながらレーザーで下鼻甲介という場所の粘膜を焼灼します。施術時間は片方約5分、両鼻で約10分程度で終了します。
肉が焼けるにおいがしますが、術中の出血や痛みはほとんどありません。
当院では内視鏡を使用していますので、焼き残しなくしっかりと焼灼できます。患者様用モニターもありますので、ご希望のある方は照射をご覧になれます。
出血などの無いことを確認し、術後に飲む炎症止めなどをお渡しして終了になります。全過程で約1時間ほどです。
術後の経過
治療後約1週間は一時的に鼻水鼻づまりが悪化します。鼻水に血が混じることもあります。特に初めてレーザーを受ける方は、術後1~3日は鼻で息ができなくなることがあります。1週間後くらいから鼻の粘膜の表面にできたカサブタが少しずつはがれて出ていきます。術後の痛みはほとんどありませんが、3日間ほどはヒリヒリした感じがします。
術後約1週間で鼻水鼻づまりは落ち着き始め、3~4週間後には良い状態になります。
術後は1週間後と1か月後に経過をみせていただいていますが、あまり副作用の無い方や、何度かレーザーを受けて慣れている方は、問題がなければ再診の必要はありません。
効果を維持するには1年から2年に一度レーザーを受ける必要がありますが、2年以内の再照射であれば術後の副作用はわずかな症状で済みます。
注意事項
- 予約の変更やキャンセルは必ず電話でご連絡ください。
- 無断キャンセルされた方は当院での施術はお断りさせていただきます。
- 花粉症などのアレルギー性鼻炎に対してレーザー治療を希望される方は、事前に採血などによるアレルギー検査が必要です。他院で既にアレルギー検査をしてある方はデータを持参していただいても大丈夫です。(保険で行うためにも診断が必要です。)
- 肥厚性鼻炎や薬剤性鼻炎はしばらく内服薬や点鼻薬を試し、効果が無ければレーザー治療を行います。他院で既に治療を受けている方は、今までの治療歴がわかる物(採血結果とお薬手帳など)を持参していただけますと早めに行うことができます。
- 現在鼻炎の症状がある方は、症状が落ち着いてから照射することをお勧めします。炎症を起こしている粘膜にレーザーをあてても、効果はあまり期待できません。(特にスギ花粉症の方は注意です。花粉が飛び始めてからの照射はお勧めしません。)
- 出血傾向のある方、血液をサラサラにする薬を服用している方はレーザー治療を行うことができません。
- 鼻の穴が狭い方、鼻が極端に曲がっている方は内視鏡をつかってまず鼻の形をしらべます。レーザーの器具が入らないと判断した場合は施術することはできません。この場合は鼻中隔湾曲矯正術や下鼻甲介切除術という手術が適応になるため、手術のできる施設にご紹介いたします。
- 薬剤性鼻炎などで鼻づまりが強い方は、まず鼻の粘膜の腫れをおさえる必要がありますので、施術前に1~2週間ほど薬の内服と点鼻をしていただきます。
- 鼻水・くしゃみに関してはレーザーだけでは改善せず、内服も必要になることが多いです。
- 心臓病、高血圧などの循環器系の病気、緑内障、前立腺肥大、麻酔薬に対するアレルギーがある方は必ず申告してください。
- スポーツや長時間の入浴、飲酒など血圧が上がるような行為は1週間ほど控えてください。
- レーザーは10歳程度から受けることができますが、若い人ほど代謝がはやく元に戻る傾向が強いため、中学生くらいですと早いと半年で効果が切れます。